2007年2月25日(日)、初めて慈尊院境内に足を踏み入れた。なんのためかといえば、2004年7月に世界遺産に登録された同寺院と高野山石道をデジカメ片手に散策するため。前々から存在を知っていたけれど、今の今まで訪れたことがなかったのはなぜだろうか。特に理由はないような気もするが、「灯台もと暗し」ということなのかもしれない。まずは地元から、まずは基礎工事から始めようと、今さらながら思う今日この頃なのだ。
陽気は早くも春の到来を予感させるものがある。しかし、それも気まぐれな雲のうごき次第で太陽光がさえぎられて、冬の気配に逆戻りしてしまう。加えて境内の静けさとおごそかな雰囲気がキリリとしまった空気を演出しているかのようである。実に微妙な天候であり、冷気は緊張感を固めてくれるという自説を実証的に補強してくれるようだ。境内ではお遍路さんとおぼしき方々がお堂の前でお経(たぶん般若心経)をあげている。仄聞するところによれば、四国の88ヵ寺を巡り終わった後、紀ノ川沿いに遡上して高野山にいたるケースもあるという。その途次の方々なのかもしれない。
慈尊院の境内をブラブラと散策する。合間にデジカメを構えてシャッターを押す。小さなフォーカス音がなにやら場違いな気がする。観光化されたお寺ではとうてい味わえないこの雰囲気が、微妙に心地よいと感じるのは私だけではないだろう。
寺務所で若いお坊さんにパンフレットを所望する旨を礼節に準じて表明する(よーするに「ちょーだい」とお願いした)。その際にパンフレットを使った高野山石道のレクチャーを受ける。ネットで予習して全部で180本の町石があることは知っていたが、さらに山上には36町(37本)あるとのこと。彼の説明でようやく「全長22km」と公表されていることの謎が解けた。つまり、
180*109/1000=19.62kmなのだ。てっきり自動車燃費の「10・15モード」みたいなものだと思っていたのだが、なるほどちゃんとカウントしてあるのだ。
(180+36)*109/1000=23.54km
今日の目的はデジカメで動画を撮影すること。撮影した動画は適宜加工してネットにアップする予定である。どのような動画を撮影するかだが、実際にルートを歩く様子を撮ることに決めていた。淡々と歩くだけの動画になりそうだけど、この場合は派手さは不要かと思うのだ。というわけで、まずは撮影前の下見を行うために軽く歩いてみることにする。
慈尊院境内から丹生官省府神社に至る長い石階段に足をかける。まずはグイグイと歩を進めるわけだが、これがけっこうキツイ。まだいくばくも歩いていないのになぜキツイのか。それは前日に「大阪市内の渡し船巡り」をオール徒歩で行ったからだ。詳細はそれ専門のHPを制作する予定なのでそちらをご覧ください。さて、丹生官省府神社でお参りを済ませて、本殿に向かって右手に伸びる高野山石道に針路を戻す。ちょっとした坂道の底に見えるのは「179町石」である。1町=約109mだが、間にアップダウンが入るとけっこうな距離があるように感じる。そのまま勝利寺が右手に見える交差点まで進む。まあ、これならメモリか体力が続くかぎり普通にあるけば画になるのじゃないかなと思い、鋭くスタート地点である慈尊院山門に向けてきびすを返すことにした。実はこの日は和歌山鉄道貴志川線貴志駅の駅長猫「たま」を撮影に行こうと思っていたので、わりとタイトなスケジュールなのである。